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■ASIA Israel 1993/12/1

勤勉な民族

仕事で海外の様々な国の人たちと交流を深め海外から日本を見るにつけ、日本人の勤勉さ、まじめさを実感する。国内にいてはなかなか実感できないことなのだが日本人は世界一まじめで勤勉な民族ではないだろかと感じることが多い。

ところが仕事でイスラエルを訪れる機会があり、イスラエル人(ユダヤ人)が実は世界一まじめで勤勉な民族であると思うようになった。

イスラエルのギャレリー湖のほとりの小さな町にあるホテルに宿泊した時のこと。仕事のFAXを送るために夜にホテルのロビーにいたのだが、イスラエルの高校生か大学生くらいの学生さんの集まりに英語で声をかけられた。学生さんなのでまぁ他愛もないことだろうと思っていると、日本語の「家」という漢字を紙に書いて見せ、「上のこの部分(うかんむり)が家の屋根でその下のこの部分が人という意味なんですか?」とたずねてくる。その質問のまじめさと鋭さにちょっと驚き。これは適当に答える訳にはいかないぞぉ... と思わず背筋を伸ばす思い。「その通り、ただ下の部分は人じゃなくて、豚という意味だと思う」「漢字というのは、その意味を表した形からできたもの」と説明。学生さんはみな、「あぁなるほど、やっぱりそうなですよねぇ」と納得。

僕が驚いて感心したのは、週末のこの夜の遅い時間に若い学生が集まって遠いアジアの国の文字についてみんなであれこれ話していたということと、そこにたまたま居合わせたアジア人の男性に純粋な向学心の為になんのためらいもなく率直に話しかけ学びとろうという態度であった。

イスラエルの人たちと交流して僕がなんとなく感じたことは、砂漠の中の荒地の貧しい土地に位置し、周りをまったく文化・風習の違うアラブ諸国に囲まれ、しかも時に敵対関係に置かれる、という非常に厳しい環境の中で、のんびり気楽に遊ぶ余裕などなく毎日真剣に学び、まじめに勤勉に働くしか生きていく術がなかったイスラエルの歴史が、そういう彼らの気質に反映しているように感じてしまう。僕にとってはイスラエルの人たちは敬意と同情をよせるべき特別な民族です。

村上篤矢

記者紹介

村上篤矢
Atsuya Murakami

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